眠りの妨げ・・

眠りの妨げになるものには、いろいろあるが、私の場合は「気温に合う寝具かどうか」だ。
夏は、寝具と言える物でもない座布団にごろ寝しても、十分睡眠を取ることはできる。暑苦しくなければ、良い。眠ってから暑くなって上掛けを跳ね退けても、そのために風邪をひいたことはない。必要とする寝具の種類が少なくて済む分、物理的にも対応は簡単だ。
ところが、夏以外は、気温に合った寝具を使わない訳にはいかない。
近頃では、寝具を間違えると、翌朝までウトウトした挙げ句、起きた時には、「ああ、眠りが浅い」と感じ、めまいや脱力感が有る。「自己暗示じゃないの」と言われているが、身体が寝不足を訴えて、動きや会話に冴えを感じたことがないから、絶対暗示に因るものではないことは明らかだ。寝不足と同時に風邪をひいたり、それをこじらせたりしている。
大袈裟と笑われるほどの念の入れ方で、対策を講じている。特に、「季節の変わり目」の対策は難しく、気温の上がり下がりは、油断出来ない。
眠りについた私の身体は正直で、掛ける物一つひとつを素直に受け入れたり、拒否したりする。
朝から私の身体が「もっと、適切な物を掛けるか、なんとかしろよ」と文句を言う。
「寝入りばな」は、ちょうど良くても「夜中」「朝方」に「身体から体温が奪われているな」と感じ、目を覚ますこともある。準備が良ければ、ちゃんと横に置いてある毛布や布団を引っ張って掛けている。
「寒くなれば、寝具を沢山掛けとけば良いから、簡単でしょ」と言うが「ほてる」「ムウッとする」ことが、私にはある。決まってそんなときは、布団の中で汗をかいて、気が付かないうちに跳ね、急激な体温低下に気がつき目が覚めたりする。
やはり、タオルケット、綿毛布、羊毛毛布、羽毛布団、綿花布団の選択と組み合わせは重要だ。
昨日は、羽毛、綿毛布、布団の順だった、やはり、綿毛布、羽毛、布団の順でないといけなかった、汗をかいてしまった、ということになり、朝から「順番を間違えた」と話題にすると、またァ、と笑われている。
ずばり上手くいくと「ああ寝た」ということになるが、そうならないことのほうが多い。熟慮工夫のうえ出来上がった「寝床」であっても風呂上がりの後ですぐに寝床に入ってしまったとか、お茶を飲み過ぎてしまったりとかしてしまう。寝床に入るまでの過程も睡眠に影響する。
夜中にトイレに起きるのは厄介なものだ。なんと言ったって、睡眠を邪魔する刺激がある。何回か知らぬふりをして、ようやく起き上がり、済ませ、そのまま寝付けばいいのに、イロイロと気になってくる、鼻の乾き、口の中の粘つき、鼻から水を吸い込み洟をかんでから、口を濯ぐ。寝床に入ってからでも、枕と頭の位置、首と布団との隙間、パジャマのズボンの裾上がり、袖上がり。お腹のしこりもそれだ。
布団に入ってから、まず肩にボアシーツを巻く、次に枕を首の後ろにスッポリ入れる、そして腰枕(テレビでやっていたこれ良い)をし、肩の下に羽毛布団を入れ込む、顔に掛かるのは鬱陶しい、あ〜パジャマの袖がまた上がっちまった。また、片方ずつ引き下げる。これでセットできた。
と思った時点で下腹の張りとコリに気が付く。たまっていた箇所だ、両手の握りこぶしの親指側を下腹に押し当てかき上げるとお腹が「ククッ」という音を発て、コリが消えていく、このコリが無くなるとき、自分が気付いていないこだわりが溶けていく気がして、いつもここにも脳があるなと思ったりする。お腹が柔らかくなればこっちのもの、そろそろ眠りの入り口だ。
ところで、ちょっと明るくなってきてないか、いま何時だろうと枕時計を押す。「午前5時30分です」と時計が言う(・・言葉が出る時計なんだよ、2回押すと何月何日何曜日というけど・・)。
なんちゅう中途半端な時間だ、熟睡はもう出来ない、あきらめた、また笑われる。