この間の朝のこと、コンビニの前を通りすぎた辺りだった。
歩いている私の右後ろから、いきなり男が近寄り、私の右側すれすれに来た。
私の歩くスピードは速い方だ。それより速いスピードで近づいて来たことになる。
私はスピードを上げ少し前に出ようとした、ところが、男がスピードを上げたのだろう、競うように並んで歩くことになった。
男は更にスピードを上げたのか、次は私の前に出てきた。

なんだこいつはと思った。しかたないので、一旦スピードを緩め、先に行かせ、男の右側に移動し、今度は私が追い抜いた。

追い抜き際、なんだこいつ、と思わず声が出たのだろう。
それを聞いたのか、50歳代の男は追いかけてきて、声を掛けて来た。
速いですねとでも言うのかと思ったが顔に怒りがある。止まらざるを得ない。
男は、私の顔に顔を近づけてまるで記憶するかのようにじっと見てから脇道に顔を向け行こうと言う。
私は、警察を呼ぶよと言ったが聞こえたか。
構っていられないから、先に歩き出した。
ところが、どうしたのか、いつの間にか相手は、私より、はるか前に歩いている。
ああやっと行ったか、と思った。
ところが、今度は、急に止まって振り返り、「けしかけてきたのはお前の方だ」という。
私は、距離を保つため止まって見ていた。こちらにくる様子はなく、男はまた歩き出した。
男が歩き出したので、こちらも歩きだすと、また、止まって振り返えり、何か言っている。
構う訳にはいかないので止まって様子を見ていると、男がまた歩き出したのでこちらも歩きだす。
歩く方向が同じなので、まるで追いかける形になっている。そのせいかと思った。
私は、早く職場に着かないといけない。
やきもきしていたが、止まっては歩きだすことを繰り返すとちょうど、職場のビルの西側入口の通りに着いていた。私は逃げるように左に折れた。

顔は覚えた。
ただ、明日また出くわすかも知れない。
まあ、その時はその時だ、危険は過ぎた。
こんなこともあるか。
今回はいい機会だった。私も性根からもっと優しくならないといけないなと思い巡らせていた。

エレベーターホールに着いた。おや、西側から入って来た人がさっきの人に似ている。

ここで目を合わす訳には行かない。まして同じエレベーターには絶対は乗れないい。

顔を合わさないよう、他のエレベーターに乗った。
このビルの人だったらどうしょう。
もしそうだとしたら、毎日びくびくしないといけないが。