S子さん通信3

病院に向かう途中、ここでS子さんを乗せるから、また、40キロ増えると妻が言い出した。
毛布や衣類もあると言う。
毛布衣類はそう重い物ではないが、何せ乗せるスペースがない。
病院に着いてから、私は少し休むために、病室の前で顔を帽子で隠し腕組みして座っていた。
その間に義弟の嫁のY子さんが来ていた。
タオルケットと毛布は病院に寄付すると伝えたら、ありがたく使わさせていただきますと病院は受けてくれたそうだ。
ありがたい、少し乗せる荷物は減った。
挨拶と会計とS子さんのトイレを済ませ、私がS子さんの車椅子を駐車場まで押していると、S子さんが私に次の病院で使う毛布はあるかなと聞く。
有りますよ、無かったら買えばいいと言うとS子さんは今使っている毛布は上物なので暖かい。西川の毛布だと言う。
私だけ聞いていて後で聞いていないというのもいけないと思い、後ろからついてくる義理の弟夫婦と妻に伝えると、妻はもう乗らないと言い、義弟はわがまま言わないと言う。
S子さんを車に乗せ私がシートベルトをしていると、自分の隣の席を指して、私にだけに聞こえるような声で、ここに毛布を乗せたらいいと言い出した。
私はもう、可笑しくて、可笑しくて、大笑いしてしまった。