母のこと12

本来長男が家を継ぐべきだろうが、私は家を出ることばかり考えていた。
大学にいけるほどの自信はなかったし、家にお金はなかった。
社会科の先生が東京でブラスチックで造花を造る会社の話をした、私は候補に名乗り出た。
それを、私から聞いた担任が名古屋に就職先を手配した。
母は喜んではくれたが、外に出すもんじゃないよと近くの人に言われたらしく、それとなく止めた方が良いと諭してくれた。
決まった以上受験しないといけない。合格したら家を離れないといけない。
そうして私は名古屋に住むことになった。