頭の方は

Sさんはしっかりして挨拶や心遣いをする。
デイサービスで車から降りるとありがとうと言い、気をつけて帰ってと言う言葉も添える。
感情がゆたかなのだ。
嬉しくても、悲しくても、痛くても泣く、が、なんで泣いているのは判る。
私はゆたかな感情に向けて、頑張れと言わず、別の言葉を掛け始めている。
動かない左手を構ってあげないのは可哀想。
動かない手足の存在を認めてあげないのは可哀想と。
そのせいだろうか、気がつけば右手で左手を下に引っ張ったり、揉んだりしている。
声の練習もしている。
うるさいぐらい。
そう、よく声が出ている。
今日は声がよく出ていますねと言ったら、泣き出した。