Sさん通信

障子を外した。
隣から丸見えになるから、すだれを付けた。
夜は雨戸を引き、暗くさせる。
南側はシャッターを下ろす。
時計を照明で照らしているから真っ暗ではない。
これで起こされることはない、と思っていた。
ところが、2時に下から何度もアクビの声が聞こえる。
トイレに起きるか、やめるかと考えてから、起きた。
行き帰りにSさんの部屋の方向に耳を研ぎ澄ませた。
幸い、M子さんを呼ぶ声は聞こえてこない。
寝床に入っても、なかなか、寝付けない。
仕方ないから、身体全体の力を抜く。
呼吸をゆっくりして、身体の重さを自分で感じているうちに眠りに入ったようだ。
5時には、枕につけていた右耳にMちゃんと呼ぶ声が入って来た。
一定の間隔で、呼ぶ。
全身に緊張が走るのが判った。
他に音がしないか耳を澄ませた。
しない、ようだ、いつものたわいない心配を質問してくるに決まっている。
上を向いて力を抜く、5時30分にまた、声がした。
同じように力を抜く。
6時にベルが鳴りM子さんが目を覚ました。
Sさんの声が聞こえたようだ。私が蒲団をたたんでいるうちに、M子さんは私より先にSさんの部屋に行く。
SさんはM子さんに聞いた、ここは名古屋かと