Sさん通信パート4 3

土日は二人でお見舞いに行く。
土曜日は午前中。
日曜日は午後に行った。
ちょうど昼食の膳を片付けようとしているところだった。
ほとんどの人が席を立ち、膳もSさんを下げたら終わる様子だった。
Sさんの前の席が空いていたので空いている椅子を移動してSさんの前に座って顔を覗きこんだ。
Sさんは私に気がついた瞬間顔を歪め、眼を押さえ、鼻を赤くして嗚咽しはじめた。
なんでも、リハビリがきついという。
SZ先生をきついから嫌っていたが、今はYM先生がきついと言う。
話を聞くうち、奈良の自宅の話になった。
不思議だと思うと言う。
奈良の部屋をでたら病院の廊下だったと言う。
おとうさんからそんなことは何も聞いていないからどういうことか、こんなことは不思議と言う。
妻M子は何言ってるのと喰ってかからんばかりに反応するから、私が足をつついて押さえ、私はそうなんだと感心しながら相槌を打ちながら聞き役に徹した。