母のこと3

母は昭和3年生。いま86歳。22歳で結婚した。
父とはお見合いで、新婚生活は父の両親兄弟との同居で始まった。
少ししてから賃貸を借り、今住んでいる土地に家を建てた。
私たち一家が貧乏暮らしの原因を作った隣人は後からきたが。
それは此処では触れない。

母は中学校を卒業して地元で有名な富士電機を受験したが落ちたようだ。
たまたま、友人が国立の蚕糸試験場を受けるというので駄目元で3人で受けた。
周りは4月から働きだしているのに、5月になっても通知が来なかった。
6月にやっと「来れるか」という手紙が来たらしい。
3年働いて資格が上がるという時に止めたようだ。
自分は専門学校を出ていないので専門知識の無いものが人を指導できないと上司に言って退職願いをしたそうだ。
新しい職を探さないといけない。
たまたま求人のあった富士電機の関連会社に採用された。
後から入社したのに初任給が同年代より上の額だったらしい。
なんでも経歴が違うから仕方ないと同級生は上司に言われたらしい。
給料が高い分だけ上司からの頼まれ事は多かった。
そこには、結婚するまでの2年間働いたようだ。