母のこと8

何度も思った、よく母は結婚するまであの家に暮らしていたものだと。
私が感じた絶えない緊張感、その中でよく自分を維持できたものだと思ったからだった。
だが、母はあの厳しい祖父にとびきり愛されていたことを私は知っている。
母は火事で足に火傷の跡がある。
祖父はどう感じたかは分からないが6人兄弟のなかでも特別に神様のご加護が必要だと感じたのではないか。
毎日、祖父は母を連れて神社にお参りしたという。
小学校の頃、それを作文にして母は先生に褒められたと聞いた。