Sさん通信パート7 1

8月10日台風がきた。
ホームステイ先から電話がきた。
今日は中止だという。
妻M子さんは、午後から鉄道で出かける娘S子さんに駅近くの駐車場の場所を教えるため出掛けた。
私は雨で何もする事が無い。
新しい縁側で窓の柵に左肩を預けて風が棚を揺らすのを見ていた。
横でSさんは車椅子で私と外を見ている。
いまゴーヤの棚がこちら側に倒れてきたら窓ガラスは割れてしまうなぁ。
だが、風は建物で阻まれているから風にこれ以上倒す力はないはずと言い聞かせた。
私もSさんにもする事がない。
と、K子さんに美容室に連れて行ってもらえないかと、Sさんが突然言い出した。
私は、お義母さん、K子さんは今日仕事だよ、休みだとしてもK子さんも私もお義母さんを連れて行くのは無理だよ、と言わざるを得なかった。
ただ、私が髪を切り、髪の毛を染めることはできる。
はずだ。