M子さんの朝は忙しい。

二人とも、6時に起き、私は着替えを用意し、布団をたたみ、押し入れに入れる。
M子さんはトイレの後でSさんの部屋を見に行く。
ベッドの柵を外しSさんに起きるように言う。
なかなか、動きださないから、何度も声を掛けている。
それではダメ、腰が落ちたから身体をおこせない、もう、などと言い合っている。
私はちょうどそのくらいのタイミングで部屋に入っていく、埓が空かないから、Sさんの身体を起こし、トイレに連れていく、近頃はパンツも降ろす。パンツの中にはパットが入っているから、ただ、下ろせばいいと言うものではない。
初めこそは、恥ずかしがっていたようだが自分でできないから仕方ない。
それが終わったら、手を洗い。
食事をする。
私の用意が終わったら、M子さんは、弁当作りだ。
私が食べ終わり、歯を磨いているとMっちゃんと呼ぶ声がする。
服が着れない、手助けしてと言うのだ。
私は、部屋の襖を少し開けて何ですか、M子さんはいま弁当作りです。
と言うと、いいですと言う。
それはそうでしょ、私が出来る状況ではない。
しばらくするとまたMっちゃんと呼ぶなんとかシャツは着たようだ。
手が通らないからと言う。
私は手が通りやすいように上着を置いて、M子さんは今忙しいし私も出掛けるのでひとりで出来る限り頑張ってと言ってSさんの顔を見るとなんとにたーっと笑っている。
あれは、イタズラした子どもの笑い顔に似ている。