Sさん通信

耳栓をしたら、とM子さんが言った。
皮肉で言ったのではない。
眠る部屋を移したらとも。
M子さんがSさんの下からの呼ぶ声に気付く前に私が気付く。
Sさんはまず、アクビをする、少し経ってからMちゃんといい始める。
何故呼んだと聞くと大概、夢の中のできことだ。
往生するのは、夢で呼ばないでよと言うと、夢じゃない、現実、と反論することだ。
だから、起こされた私は腹が立って仕方ない。
歳を取ったら、許されることは多い、だから許してあげてと私の母は言う。
私が腹を据えかねているのは、許してもらえるという前提ができていて、何も努めないからだ。
少し頑張って改善出来るのに、できません、無茶です、と言う。
何もしなくなったら、更に体力が落ちるに決まっている。
頑張って支えて行こうという気持ちは徐除に萎えてきている。
耳栓も本気で着けてみた。
たまたまかもしれないが、呼ぶ声は聞こえなかった。
朝までゆっくり眠りに付けた。
今日は分からない。