きついからと

Sさんは、私のトイレへの付き添いを嫌がる。
きついのは当たり前です、手抜きしたらお義母さんの為にならないと言った。
付き添わないとM子さんの休む時間が無い。
さっき、M子さんにできないと繰り返し言って、もう知らないとM子さんに怒られたでしょ、と言う言葉は呑み込んだ。
リビングの中央から杖だけで歩き始めてもらう。
身体が下を向きすぎて足が出にくい。
あまりに頭を下げるものだから、食べたもの飲んだものを戻してしまう。
だから、もっと頭を上げてと幾度も言い、それでも90度より下になれば、胸と首の間に腕を入れて、上体をくうっと起こす。
Sさんは、苦しいとか、腰が痛いとか言うが、このままだと戻してしまうよ、と言って弱音を打ち消す。
練習を途中で止めた分、歩いてもらわないといけない。
SさんがM子さんに出来ないと繰り返し言っている時に私は決めていた。
トイレの行き帰りは、殆ど歩いてもらおうと。