母のこと6

姉はその大所帯の中で生まれ、私は新築の家に着いた日にうまれその後弟が産まれた。
父は、小さな教材を売る会社に勤めていた。
小学校に最後まで籍を置けなかったと父が言ったとき母は本当にびっくりしたという。
それは、最後に入院した病院でぼそっと母に伝えたらしい。
ずっと言わずにいたということだからそれは驚くことに違いない。
そんな父は、大学を出た同僚の中で大学を出てきた先生を相手に教材を売ってきたのだから素質は良かったのだろう。
虚勢を張ることもなく、見下されて怒ることもなかった。
ただ、私はたった一度殴られた事がある。
よほど生意気なことを言ったのだろう。
母は自分の父とは全く違う夫をどう思っていたのだろうか。
お金には絶えず困っていたが、平穏な生活を送って来た。