まだ、序の口

10月3日、
深夜2時にソーラーパネルで異常音がした。
外に出て止めることができればするが、この原因は判っている。
一週間以上バッテリーから使っていないので電気が貯まってますという、今まで出たこともないメッセージなのだ。
しかも、厄介な事に、鳴っている間はバッテリーから使えない。
何かいい方法をまた、見つけないと、と思いながらトイレを済ませた。
Sさんの部屋の方に耳を澄ましても音は無い、良かった。
寝床に着いて、次に目を覚ましたのは5時45分だった。
もう少し眠ろうとしたが、すぐには眠くならない、頭部に痒みを感じた。
そういえば、寝る前に頭部のマッサージをしたからだと気がついた。
ならと、マッサージをした。
これでと、腕を毛布の中に入れると、お腹に緊張を感じた。
くるぶしでお腹をこねくり回していると柔らかくなってきた。
うとうとしたと、感じた時、6時の目覚ましが鳴った。
今日は家にリハビリがくるから、まだ起こさないでとM子さんが言う。
少し間を置いてから、Sさんを起き上がらせようとしたら、今日は
「ゆっくり」という言葉を繰り返す。自分で起きるという。
ならばと、見ていると、やはり足が下に降ろせない、身体を横に向けてなんとかしようとする。
が動けない、この段階で私が首の下に腕を入れゆっくりを意識して起き上がらせた。
そのあと、車椅子に移動する。
今日は手を出さずに見ていた、4回座り直して、ようやく立ち上がったが、足が動かない。
そして、足が揃わないのに、おしりから車椅子に近づこうとした。
このままでは、外れておしりから落ちる。
とっさに私はお尻を車椅子の方に押した。
なんとか座れたと安心したら、Sさんが私に言った。
もっと、ゆっくりと。